2011-02-16
見えるもの、見えざるもの ― 前編 ―
法律は国民・消費者を守る最低限のルールです。
しかし、問題が起こってからつくられる法律も多々あります。
以前にも何度か取り上げた『住宅瑕疵担保履行法』。
この法律を皆さん覚えておりますでしょうか?
2007年に公布、2009年10月に施行されたこの法律は、住宅の土台や柱・梁など構造上主要な部材に瑕疵(欠陥)が認められた場合、
10年間、施工業者や売り主がその修繕費用を保証しなければならないというものです。
この法律ができる発端となったのは、まだ記憶に新しい2005年に話題となった「マンション耐震偽装問題」でした。
経営難や倒産によって売り主が保証できないことがないよう、保証金の供託や保険の加入を義務化し、消費者を保護することが目的です。
しかし、法律が施工され数年経った今でも、お客様はもちろん工務店でさえこの法律の本当の恐ろしさを理解されてないのが現状です。
戸建て住宅を購入するお客様には、この法律がどう関係してくるのでしょう?
それをひも解く鍵は2000年まで時間がさかのぼります。
この年の4月『住宅品質確保促進法』という法律が施行されました。
この法律は3つの柱で構成されています。
●住宅の品質確保の促進(性能表示制度の導入)
●住宅に係わる紛争の迅速化と解決(紛争処理体制の整備)
●住宅購入者等の利益の確保(瑕疵担保責任10年保証の義務)
この中でも3番目に当たる項目は冒頭に述べたものと同じです。
要は10年以上前から法律はあったものの曖昧な事が多く、正しく守られていなかったのも現実です。
「履行(決めたことをきちんと行う)」する法律が『住宅瑕疵担保履行法』なのです。
土台や柱・梁など構造上主要な部分の瑕疵(欠陥)といっても素人にはわかりません。
具体的にどんな症状が起こると、この瑕疵に値するのでしょう?
例えばこんな時・・・
― 部屋の壁紙(クロス)に大きな亀裂が入りました ―
考えられる原因
1、壁紙そのものが伸縮し、亀裂が入った。
2、壁紙の下地になっているボードが伸縮し、亀裂が入った。
3、柱が痩せたために壁紙や下地が引っ張られ、亀裂が入った。
1と2については、この法律でいう「瑕疵」に該当しないため修繕にかかる費用はお客様の負担になってしまいます。
しかし亀裂の入った原因が3だった場合、主要な構造部ですから『瑕疵』に値し、修繕費用は施工者側に発生します。
大概の施工者ならどんな原因であれ、お客様には1か2を説明するでしょう。
信頼をできるだけ落とさず、作業も比較的簡単に済ませることができます。
そして何より素人のお客様には、本当の原因は伝えなければわからないことですから・・・。
私たち夢ハウスが一番重く考え、恐れていることはこの「柱が痩せた」なのです。
柱が痩せた原因は、まぎれもなく『しっかりと乾燥されてない木』だったからです。
もしも、木が痩せて壁の中に隙間ができたとしましょう。
そこには部屋の「あたたかい暖気」と屋外の「冷たい冷気」がぶつかり合います。
すると『結露』が発生し、木材を腐らせる不朽菌が繁殖し始めます。
柱や土台が腐食していけば、大きな地震が起こったときに倒壊する恐れもあります。これは、れっきとした構造上主要な部分の「瑕疵」になります。
築後10年以内であれば保証期間とされますが、これが11年後に発覚した場合、高額な修繕費用がお客様の自己負担となってしまいます。
私たちは大規模なリフォームも行っていますが、たいていここまでの被害に気付くのは10年以上あとのことです。
これは住宅購入者にとって大きな不利益ですよね。
法律では「住宅購入者の利益の確保」を唱ってはいるものの
実際のところ、ここまで懸念して家づくりをしている会社が、私たち夢ハウスを含めわずかしかありません。
家を建てている工務店も法律をつくっている行政も、まだまだ本当の消費者目線に立てていないのです。
木を知り、お客様の利益を考えた家づくりが当たり前にできる社会は、まだ先のようです。
私たちは、この法律が施工された2000年よりもさらに前から
木の乾燥に着目し、こだわってきました。
住宅に使用する木材は絶対に乾燥材とし、
木に含まれる水分『含水率』の数値にも徹底的にこだわってきました。
高機密・高断熱の住宅に柱や梁を露出させても痩せない乾燥技術の研究開発。
こうしてできたのが、特許を取得した夢ハウスオリジナル木材乾燥機「ドライランバー」であり夢ハウスオリジナル乾燥無垢材「ドライキューピット」です。
「無垢材ですから、動きますし多少痩せてきたりしますよ。天然無垢材ですから(笑)」
こんなことをいう住宅会社や営業マンがいたら、木のことを知らない愚かな人であり、法律も知らない無知な人であり、消費者目線で考えてない無責任な人だと思った方がよいでしょう。
本当のことを知る業界の人間が、本当のことを伝えなくて誰が伝えるのでしょうか?
いつも被害を被るのはお客様(消費者)です。
この訴えに耳を傾けてくださった権威ある方が先日、当社を訪れてくれました。
東京大学 大学院 安藤直人教授、相馬智明助教授です。
後篇へつづく・・・