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2019-06-25

責任

立派に育てと苗木を植え、額に汗しながら雑草の下刈り、木漏れ日に希望を重ねあわせ、丁寧に下枝を切り落す枝打ち、そして間伐。
まるで我が子を育てるかのように愛情を注ぎ、成林まで見守る林業の担い手には、「木」に生涯を捧げ、想いを次代に繋げるドラマがあります。


今月初旬、新潟県からお招きいただき知事室へ訪問しました。
新潟から全国へ日本一のネットワーク発信元の企業だとお褒めの言葉も賜りました。
花角知事は建築に対しても造詣が深く、有意義な意見交換もさせていただきました。

そこでどうしても触れておかなければならいないと思った話題が、「越後杉ブランド」問題。
この話題に触れた時、花角知事の苦慮が手に取るように伝わってきました。

昨年発覚した「越後杉ブランド」の不適切検査(検査すべき材が検査などされず出荷されていたずさんな管理)は、住宅業界に大きな波紋を呼んだことでしょう。
私はこの問題を受け、1998年に発覚した「秋住事件」※と重なる思いがしました。

※「秋住事件」
秋田県木造住宅株式会社(秋田県・秋田銀行・北都銀行・秋田県木造産業共同組合連合会などによる官民共同出資会社いわゆる第3セクター)が秋田杉をブランド化し、首都圏に秋田杉の住宅を増やそうと千葉県山武郡山武町(現在は山武市)に270戸の建売分譲を販売。
ところが、地盤沈下、家の傾き、雨漏りなど次々と欠陥が発覚、その数は115戸にも達した。
住民は被害を秋田県木造住宅株式会社に訴え修繕を要求したものの、翌年同社は倒産、負債総額は182億円にも登っていました。多くの住民は多額の住宅ローンを残したまま泣き寝入りすることなどできるはずもなく、被害者の会を立ち上げ、秋田県と銀行を相手取り裁判となりました。結果、わずかな和解金で合意をすることとなり、住民は事実上の敗訴となってしまいました。その後の山武町はゴーストタウン同然の地域となってしまいました。


この事件を受け、国は欠陥住宅をつくる無責任な住宅供給者から消費者を保護するために、現在では「住宅品質確保促進法」を制定し、施工されています。


今回の「越後杉ブランド」不適切検査問題も同様ではないでしょうか。
木は乾燥すると変形収縮します。
そして、変形収縮により、一番恐ろしいのは木の縮み。

木材は板目方向に対し、3.5%の収縮率を特性として持っています。
例えば、120mm角の柱材は乾燥すると4.2mm縮み、300mmの梁材であれば10.5mmも縮みます。
検査を免れ住宅として組み立てられた越後杉は今、どうなっているのでしょうか。

越後杉基準.jpg<県の指針・越後杉ブランド品質・性能基準の概要>

上図は、県が示した越後杉ブランドの品質・性能基準の規定です。
まず、「寸法」の項目に構造用製材、造作・下地製材のいずれも「マイナスを認めず」とあります。ブランド立ち上げ当初より、2017年までに出荷された7,500件以上の物件において再度寸法を測りなおした場合、出荷当時の寸法よりも縮んでいれば品質基準を満たしていない不適切材の流出となります。
さらに、3.5%も木が縮めば被害は顕著に現れてきます。縮みが隙間となり暖気や冷気が逃げ、それらは壁の裏側、目の届かない場所で結露となり、やがて構造部の木を腐らせます。結果、強度はなくなり地震には耐えられない構造躯体の欠陥住宅といえるでしょう。
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次に、杉は建築用材として適しているのか考えます。
住宅に用いる木材には、適材適所という言葉があるように、古来より使用用途は決められています。
それは先人の知恵であり建築の歴史ともいえます。

家の荷重を受ける土台には、硬くて丈夫な栗・ヒバ・檜。
梁桁(横架材)には横に伸びる性質を持つ松。
柱(縦材)は真っ直ぐ天に伸びて成長する杉。

つまり、杉は柱として縦に使う用途としは適材ですが、横架材として使えるほど大きな応力はなく、松よりも劣ります。
国宝といわれる松本城や彦根城にも、梁には1本として杉材はつかわれていません。
また、柔らかい樹種のため毛羽たちやすく床材などの仕上げ材にも不向きといえます。
さらに、杉材は乾燥が難しく手間のかかる材料です。
元々檜などの木材よりも水分量が多く、また芯材部と辺材部の水分量には大きな差がある為、同時に乾燥する事は困難なのです。


日本の杉は今、世界で一番価格の「安い」材木です。
その多くは海外、主に東南アジア、中国に輸出され土木材に用いられています。
その一方、国内ではチップなどに加工されバイオマス発電の燃料として利用されています。

日本の固有種である杉。
木材に精通するある教授は私に言いました。
「多額の補助金を投じた国策の杉事業は失敗だった。」
日本の林業は今、国や自治体の補助金ありきの事業であり、産業と呼べるものではありません。世界的にみても、林業に公的補助金があるのは稀です。
世界の林業は補助金がないからこそ、誰もが真剣にどうすれば収益をあげられるのか、どうすればコストを抑えられるかを考え、そして市場競争が生まれ産業へと発展しているのではないでしょうか。

幾代にもわたり、先代の想いを受け継ぎ、愛情を持って育んできた成林の結末を「木」に生涯を捧げた林業の担い手たちはどう思うのでしょうか。
責任のある仕事を全うすれば、作り手・売り手・買い手全てがお互い感謝し合える関係が築けるはずです。
工程や基準の欠如、無責任な仕事で最後に割を食うのは消費者であるお客様。


官民が一体となり、責任を押し付けあうのではなく、互いに責任を全うするような事業。
花角知事との意見交換の中で、夢ハウスを視察したいと打診がありました。
夢ハウスは常に「お客様にとって何が最高か」という事を考え続けている会社。
本物のものづくりを通し、お客様に耳を傾け、お客様が思い描く夢、それ以上の提案で感動を共有することにいつも尽力をしている会社です。
その夢ハウスの取組み、工場や現場での取組みをじっくりとご覧いただき、知事にとって問題解決の糸口が示せるのであれば幸いに思います。

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夢ハウス会長 赤塚幹夫
夢ハウス会長 赤塚幹夫

お客様と一緒にツーリング

家を建て終わった後もお客様と家族同然のお付き合いを続けていきたい。その思いからお客様貸し出し用の大型バイク、ハーレー・ダビッドソンを会社で買うことに。県外からわざわざ乗りにいらしたり、このために免許を取得したお客様もいます。休日はこのハーレーでお客様とツーリングし、親睦を深めるのが楽しみのひとつです。

プロフィール:

1951年新潟県生まれ。(株)夢ハウス会長。大工修行を経て27歳で建築の一貫性を目指して独立。現在夢ハウスをはじめ関連企業6社の代表を務める。

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