2016-11-14
向上心を持ち続けることが人生を充実させる
10月の終わり、昂る心を抑え駆けつけた先は、利根川河川敷。
気温どおりの肌寒さを感じないのは、これから飛び立つ者の緊張感と見守る者の高揚感が伝わってくるからなのでしょう。
ドウゥッ・・・キャノピーを真上にセットし、間髪入れずに走りだし地表から上空へ・・・
風を読み、力強く加速したと思えば時に優雅に風に乗る、多くの鳥達は熟れた手錬。
この日、鳥たちが大空を舞っては、互いの技術と技能を競い合っていました。
千葉県神崎町で行われたパラモーター日本選手権。
全国より集いし達人たちのフライトを間近で拝見できるとあって、まだ1年半のキャリアの浅い私が楽しみにしていた大会です。
特筆すべきことに、そこで拝見した技能もそうですが、一番の驚きは参加者の大半が私のような年配者だった事。
私も然り、パラグライダーという共通の楽しみの基、常に上達を目指す姿は、人生の最後を「空を飛ぶ」という壮大な夢で謳歌しているのだと感じました。
人生に夢や目標を掲げ邁進し続ける限り、人はいくつになっても成長できます。
それは仕事も同じ。
会社のトップという立場は、いつも下の社員に動向を見られています。
トップに元気がなくなれば、同じように会社も元気がなくなります。
経営者たるもの、常に目標や新しい事にチャレンジしていかなければ会社は衰退していくでしょう。
私も65歳。精神的に肉体的にも衰えてはきていますが、目標や楽しみにする趣味のパラグライダーが衰えを補っているのではないでしょうか。
日々、天気や風を気にして今日は飛べるのかと考えてしまいます。
また、車を走らせればすぐ飛行できる場所がある恵まれた環境がそれを後押しします。
飛べるとわかれば直ぐ行動する私を見て、従業員からはまだまだ若いと言われています。
留まることなく流れる月日。
今月、高校の同窓会が開催されます。
生憎、日程が合わず出席は叶わなかったのですが、もし出席していたらと思うと私の中で葛藤が生じます。
65歳といえば、ほとんどの同級生が第一線から身を引き、第二の人生を歩んでいます。
仕事を気にかける事もなく、子供も大きくなり、人生を自分の時間に費やせる。そんな姿を羨望の眼差しで私はみる事でしょう。
一方、私は未だ経営者であり、業績の心配、従業員の生活の心配など、まだまだ自分の為に費やせる時間がないのが現状です。
同級生の目には、私が一体どう映るのでしょう。
これが幸せなのかどうなのか、今の私には結論が出せません。
この歳になって、人生の最期について考える機会が増えてきたように思います。
ここ最近、テレビや地方紙のお悔やみ欄が気になり目を通します。
若くして亡くなられた人であれば、短い一生をどんな形で歩んできたのだろう?幸せだったのか不幸せだったのか。
世代を共にした銀幕スターや著名人の訃報。
同じ時代と歳を重ねてきた同士として、不思議な寂しさを覚えます。
人生を謳歌するという事は、悔いのない最期を迎えるという事ではないでしょうか。
少しでも悔いのない人生を歩もうと思うならば、向上心は不可欠です。
腕のいい大工とは、仕事が綺麗で早い人の事をいいます。
生まれ持ったものではなく、どうすれば仕事が楽にできるかを考えてきた人です。それはつまり向上心。
常に自分よりも上の人を見て、どうすれば段取りよくできるか、技術を請い真似をし、さらに上を目指そうと思えば、新しい道具や技術を自ら開発してしまいます。
私にとってのパラグライダーもそうです。
人生でこれほどまでに夢中になった趣味は、過去を振り返ってもありません。
日本チャンピオンの五十嵐さんの飛び方に憧れ、どうすればプロの飛び方ができるのか考え実践し、指導を仰いでいます。
五十嵐さんは、日本チャンピオンだからできる。
そうではなく、向上心による努力の賜物で今があるのだと思うのです。
鳥になるには、まだまだハードルが多く険しい道のりですが、目標高くチャレンジし続けることが、五十嵐さんへの近道なのだと思います。
高みを目指す事に年齢は関係ありません。
人はいくつになっても成長できる。
常に向上心を持って人生に取り組めば、その果てにきっと人生の謳歌があるのでしょう。