2012-09-08
チャレンジし続ける人生には「張り」がある
先月８月２４日東京都江東区有明の会場より、夢ハウス創業３５周年記念特別フォーラムと題しまして、世界的建築家・安藤忠雄さんをお招きし「これからの工務店の進むべき道」をテーマに講演会を開催いたしました。
当日は全国より３００名程の建築業界関係者、なかでも経営者の方々にご参加いただき、安藤先生の迫力のある講演に皆さん真剣に聞き入っておられました。
安藤先生が生き抜いてきた人生、その歴史のお話しになると皆さんの目が一斉に輝いた事が特に印象に残っています。
現役、ましてや世界中を舞台に活躍されている安藤先生からは、人並外れたエネルギーを感じます。
実年齢を考えますと、そのギャップにはますます驚かされ、人生に「チャレンジ」する人間には年齢など関係がない事を感じさせてくださいました。
ここで、ふと思い出しました。
お客様が発起人になり創設した「夢ハウス友の会」。運営をしていただいている主要メンバーは還暦を過ぎ、一線を務めあげ第二の人生を謳歌しようする方々です。
その「夢ハウス友の会」が目指す「心の憲章」にこうあります。
人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる
希望がある限り若く、失望と共に老い朽ちる
人は心の持ち方次第で体力も若さも保てる、精神に限界はなく「チャレンジ」の持続、継続こそが周囲の環境だけでなく、自分自身の終わりなき成長に繋がるものだと安藤先生をはじめ、人生の先輩方は体現されています。
チャレンジし続ける人間、私もまたその1人です・・・。
人間はとかく難しい問題や未だ経験したことのない出来事に恐怖を感じ、「できない。」という言葉で自分を保護しようとします。
それらの難問は裏を反せばチャンスであり、喜びや感動を分かつ人生の宝となりうるのです。
私は独立以来、お客様からの無理難題に対し「できない。」と断ったことがありません。
根拠も保証もなくとも「任せてください。」と啖呵をきってきました。
確かに不安や恐怖はあります。しかし、それ以上に成功したときの喜びのイメージを沸かせ、奮起するのです。
その喜びのイメージが難題解決のプロセスまで楽しみに変えてくれるのです。
この度依頼され、建前の真っ最中であるお寺の建築も私たちにとって前代未聞の難関であり、偉業と言えるでしょう。
住宅を専門とする建築屋がお寺を建造するなど、他に類を見ない事だと自負しています。
普通ならば元請け業者から下請けの宮大工にという習わしが一般的ですが、この度の建造は私たち夢ハウスが全て自分たちの手で行っているのです。
これは建築業界の中でも本当に希なケースですし、一生に一度あるかないか、何万分の１という確率の仕事だと思います。
お寺などの神社仏閣は、木造建築を手掛けるものとして崇高なものであり、数百年と地域の方々に愛され、幾代にも渡り残し続けなければならないもの。
ご住職や檀家の方々の想いに応えるプレッシャーはありますが、私はこれを人生最大のチャンスだと感じました。
歴史が証明してきた現存する古き木造建築を学び直し、自分たちが培ってきた素材からこだわるものづくりと住宅建築の技術のすべてを融合させ、誰も見たことのないお寺を建造してみせる。
一大工でも感性とチャレンジする意欲があれば、宮大工を遥かに超えるものがきっとできると信じています。
それをお客様にも、そして夢ハウス社員にも証明してみせたいのです。住宅とはまた違った適材適所の木使い、素材の吟味、十分な乾燥、緻密で複雑な加工、表に見えてくる細かな装飾の彫り物まで自分たちで行うと決めました。
９月９日。渓岩禅寺様の上棟式を迎えます。
ようやく棟上げという一区切りに辿り着きましたが、まだまだこれからが正念場。
しかし、寡黙でも頼りになる優秀な大工たちが衆知を結集し、皆を興奮させる素晴らしい作品にすることと思います。
私も職人気質のためか逸る気持ちを抑えられず、時間を見つけては現場に顔を出し、レッカー車を自ら動かす日々が続いています。
皆様も機会がありましたら、ぜひ渓岩禅寺様へ遊びにいらしてください。
きっと、私たちの想いを感じていただけるはずです。
